3D印刷成功事例――高級腕時計サプライヤーPromotion SpAの欠かせない宝物
2021.05.10
写真:カーボン繊維配合のナイロン樹脂で作成された時計チェーンアセンブリ用治具(FastParts(Crea3D)による3D印刷)
■PA-CF(ナイロンカーボンファイバー)材料が製造上の難問を解決した。
イタリアの会社Promotion SpAは多くのスイス高級腕時計メーカーのパートナーです。腕時計のデザインを検証する原型試作において、FUNMAT HT機種のPA-CF材料での3D印刷によって、一連の問題点が解決されました。「PA-CF材料の機械抵抗と軽量化は我々に非常に良い印象を残りました。」とFederica Tiso氏が語りました。
Promotion SpAは高級ジュエリーと腕時計業界に非常に知名度が高いです。会社は、イタリアの宝飾品と腕時計製造部品産地の中心地であるVicenzaにあります。腕時計チェーンとアクセサリーの製造において、これらのブランドの重要なパートナーとなっています。「試作品の設計から、テスト、製造、品質管理及び物流までのプロセス全体を管理し、腕時計チェーンの開発及びカスタマイズする能力を持ち、完全なソリューションを顧客に提供することができます。」とPromotion SpAの材料研究開発科学者のFedieica Tiso氏が語りました。
■Promotion SpAは2014年から3D印刷技術を利用し始めた。
Promotion SpAは3D印刷技術を広く使用して、開発期間を短縮し、毎本の腕時計チェーンの品質を確保しています。2014年に、彼らは原型及び道具製作用にブロンズとスチールを印刷可能なSLM 3Dプリンターを初めて導入し、その後、純金印刷専用の金属3Dプリンター、更に、2019年に樹脂印刷用のDLP(光造形)3Dプリンターを導入しました。「当社の製品は、ハイエンドカスタマイズと少量生産です。そのため、組立や研磨の工具を頻繁に交換する必要があります。一本一本の腕時計チェーンが厳格な品質と機械テストを受けているため、この工程を簡易化にする工具が必要です。」とFederica氏が説明しました。各工具がそれぞれ独特な需要があります。研究室のテストに使用する工具は反りと破断がないように高頻度の循環利用を耐える必要があります。研磨工具は耐久性が高く、組立工具は工作物にひっかき傷を避けるために滑らかな表面が必要です。
■なぜPA-CF材料を選んだのか。
Promotion SpAは、3D印刷された治具を使用している際にいくつかの問題を発生しました。この治具は、サイド溶接用の腕時計チェーンのリンクを位置合わせするために使用されます。全体のサイズは、115×16.75×10mmで、歯の幅は約0.8mmです。「チェーンを工具との摩擦から保護すると同時に、チェーンが動かないようにするために、損傷を与えることなく2つのパーツを強力に接続できる柔軟な材料を使用しています。然しながら、このソリューションは工具の中央部にストレスを発生させ、破損につながったとの結果になります。」とFederica氏が説明しました。
力を入れすぎると、工具が壊れやすく、樹脂中のポリマーが光劣化し、印刷部品が弱くなります。そのため、Federica氏はFastPartsと協力して、解決策を見つけました。FastParts(Crea3Dの印刷サービス部門)のエンジニアは、INTAMSYS FUNMAT HTプリンターを利用してPA-CF等のスーパーエンプラで工具を印刷することを提案しました。INTAMSYS FUNMAT HTプリンターは、産業用高温3DプリンターFUNMATシリーズ中の入門版機種です。PA-CF(治具、工具及び同様の用途向けの優れた機械的特性を備えた材料)等のスーパーエンプラ材料を印刷可能です。
「このような材料を使う機会はこれまでありませんでしたが、その機械的抵抗と軽さに感動しました。FastPartsによって印刷されたパーツは、横方向のネジを固定する多くのサイクルを耐えます。工具が過負荷になっていても、途中で反ることがありません」と結果についてFederica氏が語りました。
■金属をスーパーエンプラに置換える
INTAMSYSの3Dプリンターは実例によって、Promotion SpAに大きな価値があることが証明されています。特に、スーパーエンプラで印刷した治具が金属製のものに完全に取って代わることができます。これから引続き次のステップに進みます。PA-CF材料で印刷されたパーツは、ロボット手首用の耐摩耗性を持つ軽量なアームエンドツーリングを製作することにとって、非常に優れたソリューションになります。「FastPartsと一緒に更に多くの可能性を探ることを期待しています。」