中国産業用FFF 3DプリンターメーカーINTAMSYSが、高級車メーカーポルシェからの投資を獲得。 – INTAMSYS

中国産業用FFF 3DプリンターメーカーINTAMSYSが、高級車メーカーポルシェからの投資を獲得

2021年11月、産業用FFF 3DプリンターメーカーのINTAMSYSは、新しいラウンドで数千万人民元規模の資金調達を実施した。

今回の資金調達は、Forebright(VC)とBrizan(VC)が共同で主導し、ポルシェ・ベンチャーズ(VC)も戦略投資を行ったことが分かった。今回の資金調達によって、垂直方向分野において企業の拡大を加速する見込みだ。
INTAMSYSは、以前にも香港科技大学(HKUST)コンピューター工学部(ECE)教授、松山湖ロボット基地Xbot Parkの創業者、深セン科創学院創設者である李澤湘教授、DJIの初期投資家、半導体分野における有名な投資家である高兼強教授、そして、チップ及びハードテクノロジー分野に得意な投資機構Brizanとセコイア・キャピタル・チャイナから投資を受けた実績がある。

ドイツ高級車メーカーポルシェは以前から既に3Dプリンティング技術を利用していた。画像はポルシェが3Dプリンターで製造した車のシート部品

近年、設備、材料及び付加製造(AM)発想に基づく設計分析からソフトまで、3Dプリンティングを取り巻く上流~下流サプライチェーンの環境が徐々に整ってきた。これに伴い、3Dプリンティング技術は将来のデジタルマニュファクチャリングにおいて原型製作から量産へ徐々に移行することが可能になる。
INTAMSYSは、中国国内で最も早く産業用FDM/FFFの技術革新に取組む3Dプリンターメーカーの一つとして、2016年にスーパーエンプラPEEK材料に関する3Dソリューションを提供したことによって市場に参入。当時世界規模でもPEEK材料の3Dソリューションを提供できる企業が少ない中で着々と成長を続け、現在ではそのセグメントのリーディングカンパニー且つ隠れたチャンピオン企業として知られる。

INTAMSYS 産業用3Dプリンターシリーズ

INTAMSYSは設立以来、3Dプリンティング技術を原型製作から量産用途に移行することを目標として、基礎となるコアテクノロジー分野の躍進のために研究開発力を強化し続け、産業実用化へ向かう3Dプリンティング技術における材料の互換性、効率性、プロセス欠陥及び再現性、一貫性等の課題を解決することに常に取組んでいる。
長年にわたる蓄積の末、INTAMSYSは現在、プラスチック、エンプラ、スーパーエンプラまで全シリーズをカバーする産業用FFF製品ラインナップを確立した。主な製品は、FUNMAT HT、FUNMAT PRO 410、FUNMAT PRO 610 HTである。
FUNMAT HTは、一番最初に発売したエントリーモデルであり、主に科学研究、機能テスト分野で使用されている。
FUNMAT PRO 410は、INTAMSYS一押しの主要モデルであり、20種類以上のエンプラ材料を使用でき、デュアルヘッド、優れた熱設計、温湿度管理機能等による高品質、高精度の再現性と一貫性の3Dプリンティングを保証、機能テストや治具工具製造等に幅広く利用されている。

FUNMAT PRO 610 HTでプリントされた一体型のハンドル部品

2020年、INTAMSYSは、航空宇宙、自動車産業等における小ロット量産ニーズに対し、ハイグレード産業用機種FUNMAT PRO 610 HTを発売した。
このモデルは、300℃以上の高温チャンバー機能付き、最大印刷サイズが610×508×508㎜、PEEK、ULTEM、PPSU等のスーパーエンプラとPA、PC、ABS等のエンプラ材料の大型造形や小ロット量産等のニーズに対応でき、高精度、高再現性、高一貫性といった特徴で品質管理の厳しい航空宇宙、自動車産業等の小ロット部品量産に活用されており、市場がこれまで苦手としていた生産形態へのアプローチを実現。
工業分野における深耕拡大に加えて、同年には高速フレキシブル専用3Dプリンター FLEX 510も新しく発売されている。このモデルは、スニーカーのアッパー製造工程を革新し、消耗材の大量生産分野でも新たな可能性を創出した。

Dプリンターの使いやすさを重視し、顧客体験を高めるために、長年にわたる3Dプリンター技術への蓄積を「顧客実用化促進プログラム(CAEP)」として定義し、自社ブランドの産業用FFFフィラメント『INTAM』シリーズを立ち上げた。このシリーズには、造形材料、サポート材料及びそれぞれの互換性に関するソリューションが含まれている。さらに、造形専用データパッケージも併せて開発することで、新規ユーザーが3Dプリント自体を簡単に始められ、学習コストも削減できるようになっている。

INTAMSYSも、材料大手のBASF、Covestro、Victrex、Sabicなどと戦略パートナーシップ関係を構築し、さらに多くの3Dプリンティングソリューションを提供し、材料の互換性を拡充、垂直方向における実用化をより促進していくとの考えだ。

△INTAMSYSが発売したINTAM™シリーズフィラメント

画像の日本語訳:

産業用FDM/FFF
3Dプリンターフィランメント ソリューション
革新・専門性・優れた品質

Forebright(VC)のパートナーである路峰氏のコメント:

デジタルマニュファクチャリングの進歩につれ、3Dプリンター市場は新たな成長チャン        スを迎えています。3Dプリンター及び材料分野において長年にわたって努力してきた専門企業として、INTAMSYSはこの業界のリーダーになると我々は信じています。
ハードテクノロジーは、製品そしてその実用面に定着、蓄積するまで長い年月が必要だと思いますが、INTAMSYSは、長年にわたる研究開発の結果、産業用ハイエンド機種の多くの難題をクリアし、シリーズ機種の量産を実現できました。その上、航空宇宙、自動車、科学研究機構などの世界ハイエンド分野にも導入され、最終製品・部品製造分野における実用化を実現できたことから、チームの今までの努力と技術力が完全に示されていると思います。

今ラウンドの資金調達ではポルシェ・ベンチャーズ(ポルシェ傘下のベンチャーズ)からの戦略投資も受けた。今回の行動は、ポルシェが付加製造(AM)に向けた初の試みであり、デジタル戦略を加速する新たな動きでもある。
市場の変化により柔軟に対応し、革新的且つインテリジェントなソリューションの研究開発力は、ポルシェの今後の発展と成功を決定する重要な要素だ。自動車製造のデジタルトランスフォーメーションの推進にあたって、柱となる技術の一つとして挙げられる3D印刷分野でも急速な技術革新が進み、今や自動車産業にも深く浸透してきているのが事実だ。将来のデジタルマニュファクチャリングにおいて、付加製造(AM)は重要な役割を果たしていくとポルシェは考えている。
また、3D印刷は小ロットの部品開発と生産に新たな可能性を創出した。付加製造(AM)ソリューションへの革新と研究開発は、製品及び部品の最適化、企業内のデジタルトランスフォーメーションの促進に役立つことから、長期的かつ継続的に投資する価値のある分野として注目されている。

ポルシェ中国社長兼最高経営責任者严博禹博士(Dr.-Ing. Jens Puttfarcken)のコメント:

デジタルトランスフォーメーションは生活・生産のあらゆる面に浸透しており、既にポルシェの経営戦略のコア議題にも取入れられています。付加製造技術の実用化を大いに推進し、3D印刷からもたらされた製品、及び技術面における巨大な革新力を利用して、顧客に対してより柔軟な対応を提供できると私たちは考えています。INTAMSYSと重要な戦略的パートナーとなることで、自社のデジタル化ビジョンの早期実現を加速できることを光栄に思います。

INTAMSYS CEO韓成超のコメント:

INTAMSYSの長期目標とビジョンは、3D印刷を原型製作から量産にシフトさせることです。当社の製品及び経営ビジョンがグローバル顧客に認めて頂き、当社の発展が各有力ベンチャーキャピタルによって支持され続けていることを大変嬉しく思います。将来、INTAMSYSは、パートナーとの緊密な連携、更に革新的な製品の開発、垂直方向における実用化を更に開拓することで、より多くの顧客に付加製造(AM)ソリューションを提供し、デジタルトランスフォーメーションの助けになれればと考えています。

2021-12-23T19:39:54+00:00